コーヒー豆といえば、中南米が主要生産地ですが、コーヒーの発祥地はアフリカのエチオピアです。
エチオピアは、生産量ではブラジルに大きく水をあけられていますが、生産量は世界第6位(2017年)で、伝統をしっかりと受け継いでいます。
日本で有名なアフリカのコーヒー豆といえば、タンザニアの「キリマンジャロ」、エチオピアとイエメンの「モカ」です。
アフリカは小規模な農園が中心ですが、最近は品種の改良や洗練された加工によって品質の高い豆の生産が増えています。
しかし、新興勢力のルワンダとマラウイなどを加え、スペシャルティコーヒーの一大生産地になりつつあります。
アフリカのコーヒー豆の特徴は艶っぽさのある個性的な味
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コーヒー先進諸国・中南米の洗練されたテイストに比べて、アフリカのコーヒーは個性的なものが多く、「艶っぽい」と表現する人もいます。
モカ、キリマンジャロに代表されるようにそれぞれ濃厚なコク、キレのある酸味といった特徴がわかりやすいからかもしれません。
最近は、品質にこだわったスペシャルティコーヒーの銘柄も増え、農園ごとに特徴的で洗練された豆が多くなり、以前のようにはっきりとした輪郭はつかみづらくなっています。
それでも、魅惑的なアロマなど、どこかグラマーさが残るのがアフリカ産の豆です。
日本ではまだ知名度・人気共にマイナーなため「自分好みのコーヒー」として知られざる銘柄を探すのも楽しいかもしれませんね。
アフリカのコーヒー豆の生産量はエチオピアの6位が最高
2017年全世界のコーヒー豆の生産量は9,212,169トンで、そのうち475,042トンがアフリカのエチオピア産のコーヒー豆です。
世界シェアは約5.1%で、世界第6位の生産量です。
エチオピアの他にトップ10に入ったアフリカの国は、ウガンダで世界第10位(生産量209,325トン、シェア約2.3%)
他には
第15位:コートジボワール(生産量103,514トン、シェア約1.1%)
第19位:タンザニア(生産量55,789トン、シェア約0.6%)
第22位:ケニア(生産量40,800トン、シェア約0.4%)
第32位:ルワンダ(生産量17,824トン、シェア約0.2%)
全世界のコーヒーの約1割がアフリカ産のコーヒー豆です。
日本で飲まれているコーヒーの6.7%がエチオピア産のコーヒー豆です。
2018年、日本で飲まれているコーヒー豆の26,739トンがエチオピア産のコーヒー豆で、国内シェアは第5位の約6.7%す。
つづいてタンザニアの7位で15,475トン(シェア約3.9%)
他には
第14位:ウガンダ 1,199トン(シェア約0.3%)
第16位:ケニア 880トン(シェア約0.2%)
2017年生産量Top10
国名 | 数量 (世界シェア) |
第1位 ブラジル |
2,680,515トン (29.1%) |
第2位 ベトナム |
1,542,398トン (16.7%) |
第3位 コロンビア |
754,376トン (8.2%) |
第4位 インドネシア |
668,677トン (7.3%) |
第5位 ホンジュラス |
475,042トン (5.2%) |
第6位 エチオピア |
471,247トン (5.1%) |
第7位 ペルー |
346,466トン (3.8%) |
第8位 インド |
312,000トン (3.4%) |
第9位 グアテマラ |
245,441トン (2.7%) |
第10位 ウガンダ |
209,325トン (2.3%) |
資料:GLOBAL NOTE
2018年輸入量Top10
国名 | 数量 (国内シェア) |
第1位 ブラジル |
111,955トン (28.0%) |
第2位 ベトナム |
98,513トン (24.6%) |
第3位 コロンビア |
64,201トン (16.0%) |
第4位 インドネシア |
30,364トン (7.6%) |
第5位 エチオピア |
26,739トン (6.7%) |
第6位 グアテマラ |
24,117トン (6.0%) |
第7位 タンザニア |
15,475トン (3.9%) |
第8位 ホンジュラス |
6,624トン (1.7%) |
第9位 ラオス |
5,656トン (1.4%) |
第10位 ペルー |
4,813トン (1.2%) |
資料:財務省「通関統計」
エチオピアはコーヒー発祥の地
エチオピアはコーヒーの木が発見された国とされています。
高原でコーヒーの実を食べて興奮しているヤギを見て、ヤギ飼いカルディがその実を食べてみたと言う説話が伝わっています。
このエチオピアを起点として、世界中の生産国へとコーヒー栽培が伝播していきました。
エチオピアの羊飼い Kaldi(カルディ)伝説
エチオピアの羊飼いカルディはある日、藪に生えている赤い実を食べた自分の羊の群れが活発になり飛び跳ねているのを目撃し、自分でもその果実をかじってみた。
すると途端に陽気な気分になったため、近くのイスラムの修道院の僧侶のところへ持参したのです。
しかし、その僧侶は果実を使用することを認めず、火に投げ入れてしまいました。
するとそこから心惹かれるような芳香が漂ってきたではありませんか。
焙煎された豆は残り火からすぐさまかき集められ、熱湯に溶かされ、これが世界で最初のコーヒーとなったのです。
輸入食品店の「Kaldi」の名前も、この伝説が由来になっているそうです。
エチオピアでのコーヒー豆の呼び方
エチオピアとイエメンで生産されるコーヒーは、かつてイエメンにあった積み出し港「モカ港」にちなんで「モカ」と呼ばれています。
エチオピア産の「モカ」は、タンザニア産の「キリマンジャロ」と並んで、アフリカコーヒーの代表的存在になっています。
店頭では「モカ ハラー」「モカ シダモ」などの生産地区の名前、「モカ G-1」など、格付けを表す等級と一緒に表記されていることもあります。
栽培品種
アラビカ種
香味の特徴
非水洗式アラビカ
フルーティーな甘い香りと柔らかな酸味とコク
水洗式アラビカ
しっかりした酸味とコク、芳酵で重厚な風味
エチオピアのコーヒー豆のグレード
エチオピアでは300g中の欠点豆の数で格付けされます。
グレードは実際にはG9までありますが、輸出されるのはG5までで、さらに日本にはG4より下のグレードが入ってくることはまずありません。
主な表記 | 欠点豆の数 |
G1 | 0~3個 |
G2 | 4~12個 |
G3 | 13~27個 |
G4 | 28~45個 |
G5 | 46~90個 |
エチオピア産の代表的なコーヒー豆
【モカイルガチェフェ】最適な環境で栽培

イルガチェフェ
モカイルガチェフェは、森と湖に囲まれた標高2000mに位置するイルガチェフェ村で収穫され、バランスのとれた酸味とモカフレーバーが特徴です。
この村で栽培されているモカイルガチェフェは、かたくなに守り続けられる製法と質へのこだわりにより、年間生産量が非常に少ない貴重な豆です。
口いっぱいに広がる素晴らしい甘みとクリーンな後味が、高い評価を得ています。
モカイルガチェフェの詳細
グレード | スペシャルティコーヒー |
適した焙煎度 | 中煎り~深煎り (ハイロースト~フルシティーロースト) |
香り | |
酸味 | |
甘み | |
苦味 | |
コク |
【グジ】近年注目を集める地域のトップクオリティー

エチオピア グジ ウォッシュド G-1
グジは、フローラルさにチェリーやアーモンドのような甘い香りがします。
エチオピアのシダモ州グジ地区で栽培されるコーヒー豆は、従来シダモエリアのコーヒーとして出荷されていました。
近年品質の高さが評価され、グジ地区単独で取引されるようになり、さらに高品質のコーヒーになりました。
シューシーな飲み口にレモンやライチ、ジャスミンを感じる華やかな酸味。
マスカットやチョコレートをイメージさせる複雑な甘さのあるコクが後を引きます。
グジの詳細
グレード | プレミアムコーヒー |
適した焙煎度 | 中煎り~深煎り (ハイロースト~フルシティーロースト) |
香り | |
酸味 | |
甘み | |
苦味 | |
コク |
タンザニアのコーヒー豆はアフリカ最高峰
アフリカ東部に位置するタンザニア。
かつては、国の北東部にあるアフリカ最高峰「キリマンジァロ」の斜面で栽培されていたため、「キリマンジァロ」の名称で呼ばれていました。
現在では、タンザニア産のアラビカ豆すべてを「キリマンジァロ」と呼びます。
タンザニアでのコーヒー豆の呼び方
タンザニア産のアラビカ豆すべてを、一般的には「キリマンジァロ」、取引上は「タンザニア」と呼んでいます。
また「キリマンジァロ AA」など格付けを表す等級と一緒に表記されていることも。
栽培品種
アラビカ種/カネフォラ種ロブスタ(主にアラビカ種)
香味の特徴
水洗式アラビカ
しっかりした酸味とコク、芳酵で重厚な風味
タンザニアのコーヒー豆のグレード
タンザニアのグレードは、スクリーンサイズと品質でそれぞれ格付けされます。
スクリーンサイズでの格付け
基本的には AA~C で格付けされますが、AAよりも著しく大きな物をE(エレファント)と呼び、Cよりも下のグレードになります。
主な表記 | 豆の大きさ |
AA | 6.75mm~ |
A | 6.25~6.74mm |
B | 6.15~6.24mm |
C | 5.90~6.14mm |
E(エレファント) | AAよりも著しく大きい |
品質で格付け
スクリーンサイズとは別に品質ごとにも格付けされます。
上に行くほど高品質で、下になるほど低品質です
主な表記 |
FINE |
GOOD |
FAIR GOOD |
FAQ+ |
FAQ |
FAQ- |
POOR FAIR |
POOR |
VERY POOR |
タンザニア産の代表的なコーヒー豆
【キリマンジャロ マチャレAA】はアフリカの先進農園が生産

キリマンジャロAA
キリマンジャロマチャレAAは、強い酸味と甘い香り、そして上品な風味が特徴です。
キリマンジャロマチャレAAは、タンザニア北部のモシ地区に広がる、標高1400~1550mというキリマンジャロ山麓でも最も高い地域で栽培されています。
マチャレ農園はアフリカの先進的な農園として知られ、自然環境の保全や労働環境の整備に取り組み、アフリカ初のレインフォレスト認証を取得した農園です。
一般にタンザニアで収穫されたコーヒー豆=キリマンジャロと称されています。
キリマンジャロ マチャレAAの詳細
グレード | プレミアムコーヒー |
適した焙煎度 | 中煎り~深煎り (シティーロースト~フルシティーロースト) |
香り | |
酸味 | |
甘み | |
苦味 | |
コク |
ケニアは赤道直下のコーヒー豆生産国
野生の王国、サファリなどで名が知られているケニアも、アフリカ有数のコーヒー生産国です。
コーヒーは古くから栽培され、主要産業のひとつになっています。
呼び方ケニア
ケニアでのコーヒー豆の呼び方
一般的に「ケニア」と呼ばれています。
店頭では「ケニア AA」など、格付けを表す等級と一緒に表記されていることも。
栽培品種
アラビカ種
香味の特徴
水洗式アラビカ
しっかりした酸味とコク、芳酵で重厚な風味
ケニアのコーヒー豆のグレード
ケニアのコーヒー豆はスクリーンサイズと形状によって格付けされています。
スクリーンサイズでの格付け
基本的には AA~E で格付けされますが、AAよりも著しく大きな物をE(エレファント)と呼び、Cよりも下のグレードになります。
主な表記 | 豆の大きさ |
AA | 6.8mm~ |
AB | 6.0~6.7mm |
C | 4.4~5.9mm |
E(エレファント) | AAよりも著しく大きい |
形状で格付け
普通のコーヒー豆はコーヒーチェリーに2つ入っていて、丸い部分と平の部分があり、フラットビーン(平豆)呼ばれます。
平らな部分が向かい合って入っています。
しかし、コーヒーチェリーに1つしか入っていな丸い豆が時々見られます。
これをピーベリー(丸豆)といって、希少価値が高く美味しいと言われています。
主な表記 | 形状 |
PB | ピーベリー |
TT | Cより小さい豆やEのかけらなど |
T | 微細豆や通常豆のかけら、未熟豆など |
ケニア産の代表的なコーヒー豆
【マサイAA】苦味を抑えた味わい

ケニア マサイAA
マサイAAは、重厚で深みがあり、パッションフルーツやスパイスをイメージさせる複雑でしっかりした香を放ちます。
ケニアのコーヒーの栽培は19世紀の終わりに始まりました。
マサイAAは、標高1600~2000mにあるリキニャガ地区で収穫された高品質の豆を、丁寧にブレンドして作り上げたコーヒーです。
上品な酸味と果実のような甘み、心地よい渋みやスパイシーさも感じる、飲みごたえのある味わいです。
マサイAAの詳細
グレード | プレミアムコーヒー |
適した焙煎度 | 深煎り (フルシティーロースト~イタリアンロースト) |
香り | |
酸味 | |
甘み | |
苦味 | |
コク |
コートジボワールは世界屈指のロブスタの産地
西アフリカのギニア湾に面した共和国で、かつて象牙の輸出がさかんだったことから「象牙海岸」を意味するフランス語「コートジボワール」(英語でアイボリー・コースト)という国名に。
コーヒーの栽培は国の主要産業にもなっています。
コートジボワールでのコーヒー豆の呼び方
「アイボリー ロブスタ」などと呼ばれて流通していますが、単品で飲まれることは少なく、ブレンド用やインスタントコーヒーの原料などに使われるため、店頭に並ぶこともほとんどありません。
なかなか飲むことができない独特の香ばしさと柔らかな苦みのある味わいです。
栽培品種
カネフォラ種ロブスタ
香味の特徴
非水洗式カネフォラ
柔らかな苦味と独特の香ばしさ
ルワンダ産の代表的なコーヒー豆
【スカイヒル】酸味が心地よく、コク深い
ルワンダはアフリカの中央に位置する国で、ルワンダコーヒーの歴史はドイツ人宣教師によって持ち込まれたのが始まりです。
スカイヒルの産地、ニャマシェケ地域は肥沃な土壌に恵まれ、肥料などを使わず自然栽培が行われています。
味わいは柑橘系の酸味で、クリーミーなコクが特徴です。
スカイヒルの詳細
グレード | プレミアムコーヒー |
適した焙煎度 | 中煎り~深煎り (シティーロースト~フルシティーロースト) |
香り | |
酸味 | |
甘み | |
苦味 | |
コク |
イエメンではコーヒー豆が歌にも歌われる
アラビア半島の西側に位置するイエメンは、エチオピアに次いで古くからコーヒーが栽培されている国です。
イエメンでのコーヒー豆の呼び方
イエメンとエチオピアで生産されるコーヒーは、かつてイエメンにあった積み出し港「モカ港」にちなんで「モカ」と呼ばれています。
ちなみに、流行歌の歌詞にもなった「モカマタリ」は、イエメンの代表的なコーヒーです。
栽培品種
アラビカ種
香味の特徴
非水洗式アラビカ
フルーティーな甘い香りと柔らかな酸味とコク
イエメンのコーヒー豆のグレード
イエメンでは、品質による全体的なグレードわけはされておらず、生産地によって格付けされています。
基本的にはマタリ(バニマタル)がもっともグレードが高く、続いてサナア、シャーキ、ホデイダと続きます。
さらに、それぞれの地域の中では豆のサイズや品質による上下があり、マタリはNo.9が最高グレードでNo.6まで、サナアは品質的に平均より上か下かの区別だけなど、かなり複雑です。
地区内での表記 | 地区名 | 条件 |
No.9 | マタリ | 不明 |
No.8 | マタリ | 不明 |
No.7 | マタリ | 不明 |
No.6 | マタリ | 不明 |
平均より上 | サナア | 不明 |
平均より下 | サナア | 不明 |
― | シャーキ | 不明 |
― | ホデイダ | 不明 |
イエメンの代表的なコーヒー豆
【モカマタリ】野性味あふれるモカ

モカマタリ
モカマタリは、独特の豊かな酸味香り、コクを持つ、モカコーヒーの最高級品です。
「モカ」とはその昔、ヨーロッパにコーヒー豆を出荷するための港として栄えたイエメンの港の名前です。
ここで出荷されるイエメンとエチオピア産の豆をモカと呼んでいます。
中でもイエメン産のモカマタリは野性味という表現がぴったりの個性的な酸味と香りで、世界中で愛されています。
モカマタリの詳細
グレード | プレミアムコーヒー |
適した焙煎度 | 中煎り~深煎り (ハイロースト~フルシティーロースト) |
香り | |
酸味 | |
甘み | |
苦味 | |
コク |
モカとキリマンジャロの比較
日本で有名なアフリカのコーヒー豆といえば「モカ」と「キリマンジャロ」。
モカ![]() |
キリマンジャロ![]() |
|
生産国 | エチオピア | タンザニア |
豆の名前 | モカイルガチェフェ | マチャレAA |
グレード | スペシャルティコーヒー |
プレミアムコーヒー |
適した焙煎度 | 中煎り~深煎り | 中煎り~深煎り |
香り | ||
酸味 | ||
甘み | ||
苦み | ||
コク |
モカとキリマンジャロはアフリカのコーヒに代表されるように、いずれも「酸味」が特徴です。
モカは、酸味と同時に香りも楽しみたい方に向いているコーヒー豆です。
キリマンジャロは、酸味のあるコーヒが好きだけど、コクも少しは味わいたい方に向いています。
世界のコーヒー豆の産地
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